Ranked #4 by Economist and #16 by Financial Times

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各有名誌の最新MBA Rankingが発表されています。
去年10月に発表された「The Economist」のFull Time MBA Ranking(Global)では、HECは、前回8位から大きくランキングを上げ4位になりました!
http://www.economist.com/whichmba/full-time-mba-ranking?year=2014

また、今年1月末に発表された「Financial Times」のGlobal MBA Rankingでも、前回21位から16位(過去最高)に順位が上がりました。
http://rankings.ft.com/businessschoolrankings/global-mba-ranking-2015

Rankingは「水もの」ではあるものの、(良い意味でも悪い意味でも)学校に対する評価に少なからず影響するため、一つ参考意見として、Rankingの考え方と、実際に入ってみた実感値等について書かせていただきたいと思います!

1. Ranking情報を活かすためには、Methodologyを理解することが大切

私も出願時には学校選定で色々と悩み、Rankingにも注目しました。Financial Times、Economist、Businessweek、QS等、複数のRankingがあるものの、それぞれを比較する中で、例えば以下の様な素朴な疑問が湧いてきました。
 ・ そもそも、Rankingにどれ程の信憑性があるのか?
 ・ 同じ学校であっても、なぜ各Rankingで評価が異なるのか?
 ・ 直近Rankingの変動理由は何か?
 ・ 10年後のRankingはどう様に変わっているのか?

その後より調べていくうちに、RankingのMethodologyを理解するが大切と理解しました。
そこで、先ずは各誌のMethodologyを、簡単に以下の通り整理してみたいと思います。

=====

 ・ Financial Times
http://rankings.ft.com/pdf/key/global-mba-ranking-2015.pdf
 
(スコア方法) ※ 括弧内は100%中のウェイト
http://rankings.ft.com/pdf/key/global-mba-ranking-2015.pdf

 Weighted salary (20%)
 Salary increase (20%)
 FT research rank (10%)
 International mobility (6%)
  ・
 (略)
  ・
 Value for money (3)
 Career progress (3)
 Aims achieved (3)
 Placement success (2)
 Alumni recommend (2)

(特徴)
最も注目されるRankingの一つですが、その特徴は、ずばり卒業後のSalary水準・上昇率に大きなウェイトを置いていることです。一方で、「Career progress」「Aims achieved」「Placement success」といったキャリアゴールの達成度や、卒業生の評価である「Alumni recommend」のウェイトは低くなっています。
 
本Rankingの基本的な考え方は、「ビジネススクールの評価は、卒業後のSalaryで大きく計ることができる」という単純明快なものです。MBAには多くのお金と時間を投資しますので、当然Return on Investmentの観点に立てば適切な指標の一つだとは思いますが、最も注目されているRankingがSalary評価に大きな比重を置いている点を意識しておくことは大切だと思います。

また、もう一点追記させていただくと、「では、Salaryをどの様に評価しているか?」という疑問が湧きますが、「(一般的な為替レートではなく、)PPP(Purchasing Power Parity)に基づきUSドル換算で各校比較している」ということになります。 
PPPは、各国の物価水準を考慮して通貨の実質的な購買力を指数化したものであり、一見妥当にも思えますが、同じ国の中でも都心・地方で物価水準が違いますし、MBA卒業生はグローバルに仕事を探していきますので、学校所在地のPPPを採用することでRankingにバイアスがかかっています。具体的には、同じ通貨を採用するユーロ圏であっても各国でPPPが異なり、例えば2014年のPPPは、フランスが(1 USD = 0.848 EUR)、スペインが(1 US$ = 0.670 EUR)ですので、スペインで受け取るユーロの方がフランスで受け取るユーロよりもUSD換算で26.7%高いことになります。仮に、両国で同じ年間Salary 120,000EURを受け取ったとしても、フランス水準で141,509 USD、スペイン水準で179,104 USDと大きく異なることになります。
http://stats.oecd.org/Index.aspx?datasetcode=SNA_TABLE4
PPPの水準・変動がRankingに与える影響も大きいため、グローバルで学校を比較する際には、この点には注意が必要だと思います。 

 ・ Economist
http://www.economist.com/whichmba/full-time-mba-ranking
 
(スコア方法) ※ 括弧内は100点中のウェイト
http://www.economist.com/whichmba/2010/methodology

 Open new career opportunities (35%)
 Personal development/education experience (35%)
 Increase Salary (20%)
 Potential to network (10%)

(特徴)
Financial Timesと並んで注目されるRankingです。FTでは40%のスコアをSalary関連が占めるのに対し、Economistは20%と相対的に少なく、反対に、Carrier opportunitiesやPersonal developmentのウェイトが高い特徴があります。この意味では、(Salaryに現れない)キャリア・自己実現といった面を含め、より多面的な要素を数値化していると言えます。

 ・ Business Week (Bloomberg)
http://www.bloomberg.com/bschools/rankings/international 

(スコア方法) ※ 括弧内は100点中のウェイト
http://www.bloomberg.com/bw/articles/2014-11-10/best-business-schools-2014-methodology-for-ranking-schools

 Student Survey (45%)
 Employer Survey (45%)
 Intellectual Capital (10%)

(特徴)
Student Surveyが45%のウェイトを占めており、Surveyでの質問内容も学生の生の声を多角的に集める内容になっています。また、45%を占めるEmployer Surveyですが、卒業生のHard/Soft Skillについて企業側に具体的にヒアリングしています。一方、このSurveyでは、Salaryについては触れていません。

以上から、本Rankingは、評価対象期間における学生・リクルーティング企業の満足度をダイレクトに反映するものとなっていると言えます。(このため、他Rankingであまり注目されない学校が上位に出てくることもあります。)本Rankingが学生・企業の「生の声」を反映するものである一方、反対に、卒業後の中長期的なCareer ProgressやNetworkingについては直接的には考慮されていません。また、Salaryも考慮していませんので、MBAのReturn on Investmentの観点も含まれないことになります。

 ・ QS
(スコア方法) ※ 括弧内は100点中のウェイト
http://www.topmba.com/mba-rankings/methodology-qs-global-200-business-schools-report-201415

 Employability Measure (85%)
 Academic Reputation (15%)

(特徴)
MBA卒業生を採用する企業側からの採用学生に対する評価にフォーカスしたRankingという特徴があります。前回集計まではEmployability Measureのみを考慮していたと記憶していますが、今回からAcademic Reputationを15%分考慮する方法になった様です。
 
MBAの目的の一つが「企業に採用されること」であることは間違いありませんので、企業側からの評価を知る上では参考になる部分も多いと思います。また、世界各地域という区分において、Salary、Leadership、International Management、Entrepreneurship等の各項目での各校に対する評価を比較することができます。


2. Rankingを活用する

以上の特徴を理解した上で、皆さんそれぞれの目的意識に照らしてRankingを活用されるのが良いのではと思います。

例えば、私が受験時に考えたことは、最も注目されるFinancial TimesやEconomistのRankingを意識した上で、Salaryだけでなく、自身が重視する学校選びの基準として学生の質、Diversity、Networking、Alumni等の各項目について各Rankingの詳細情報を確認していきました。
http://www.economist.com/whichmba/hec-school-management-paris/2014
http://rankings.ft.com/exportranking/global-mba-ranking-2015/pdf

こうすることで、Rankingというたった一つの数字だけでなく、複数の観点から出願校を理解することができました。実際、少なくともHECについては、入学前後での学校理解に大きなギャップは感じていません。


3. HECの直近のRanking上昇について

上記1・2はどの学校にも当てはまる観点ですが、HECの個別事項として、直近のRanking上昇について少し記載させていただきます。

先ず、Economistについては、Global Rankingが8位から4位に上がっていますが、直近2年間の評価の内訳は以下の通りです。
      Rank 変動
2013 2014
Ranking 8 4 ↑4
--------
Open new career opportunities (35%) 50 47 ↑3
Personal development and educational experience (35%) 30 18 ↑12
Increase in salary (20%) 3 1 ↑2
Potential to network (10%) 1 2 ↓1

以上から、Ranking上昇理由として、「Personal development and educational experience」と「Increase in salary」の寄与分が大きいと理解できます。前者については、Faculty、生徒、プログラムに対する評価が高まっているということが理由だと思います。HECは外部コンサルを入れて継続的なプログラム改善に積極的に取り組んでいます。一方、後者ですが、Salaryの上昇率ではHECはRanking 1位になったことになります。HECの特徴として、他Topスクールと比較して卒業後進路でIndustryの比率が高く(54%(Class of 2014))、反対に金融・コンサルの比率が低いため、Salary水準は他Topスクールと比べ低いのですが、上昇度では高いということになります。このため、経済環境の改善等によりIndustryセターのSalary水準が上がるか、または、Industryよりも平均給与水準が高いFinance・Consultingセクターでの採用比率が高まると本項目が上昇することになります。

次に、Financial Timesによる直近の評価は以下の通りです。
      Rank 変動
2014 2015
Ranking 21 16 ↑5
--------
[Audit year] [2014] [2014] [ - ]
Weighted salary (20%) (US$) 120,016 129,544 ↑7.9%
Salary percentage increase (20%) 104 104  ‐
FT research rank (10%) 51 44 ↑7
International mobility rank (6%) 5 4 ↑1
             (略)

Rankingの上昇理由として、「Weighted salary」と「FT research rank」の寄与分が大きいことが理解できます。前者ですが、HECについてはRankingのAudit yearが2014年で変わっていませんので、「Weighted salary」の上昇はPPPの改善によります。一方、後者の「FT research rank」は、有名ジャーナルへの論文投稿数等が影響していますので、Facultyに対する評価が上がったことになります。

※ 上記の通り、直近のRanking上昇についても、各Rankingで一様の理由を挙げることができない状況であり、やはりRankingという一つの数字のみでなく、詳細情報を確認することに意味があると感じます。


4. HECの中長期的なRanking見通し

MBA取得後もずっと自身の経歴に卒業校が載ることを考えると、中長期的なRankingの推移も気になるのではないかと思います。

ここからは完全に私見となりますが、私は下記3点の理由から、HECの中長期的なRanking見通しついてポシティブに考えています。

・Salary水準の上昇余地が大きいこと
前項でも少し触れましたが、HECはIndustryセクターでの就職比率が高い(54%(Class of 2014))ため、平均のSalary水準は他Topスクールと比べて低い状況にあります。このため、Industryセクターでの採用条件が改善するか、またはより給与水準の高いFinance・Consultingセクターの就職率が高まるとHEC卒業生の統計的なSalary水準が改善することになります。尚、Financial TimesのRankingに関しては、PPPも変動要因となります。

下のグラフはFinancial Timesの2015年Rankingで使われているデータをそのままグラフ化したものです。Global Top25校のWeighted salaryをRankingが高い順に並べると、HECは25校中で一番低い学校ということになります。これは逆に言えば、上昇余地が大きいという見方ができます。
Source: Financial Times, Global MBA Ranking 2015より作成

・Personal development/education experienceの環境が改善していっていること
・Career developmentの実績が高まっていること
上記2点については、ごく簡単にだけ記載させていただきます。
HECは、商業系のTopグランゼコールとして、フランス国内・欧州圏内で高い評価を確立しており、Faculty・Network等に非常に恵まれています。これらを梃子に、更に学校側としてプログラム改善に積極的に取り組んでいますので、(実際の学生の目からまだまだ不十分な面もありますが、)今後のアップサイドがあると考えています。
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以上、長々となりましたが、皆さんも気にされているRankingについて記載させていただきました。
それでは、au revoir!

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